こういった疑問に答えます。
全国の高校生の不登校事情
現在高校生の不登校生徒が全国でどのくらいいるのかご存知ですか?
文部科学省の令和元年度の調査では、高校生のうち、約5万人が不登校の状態にあります。
これは、高校生全体の約1.58%に当たります。言い換えると、約63人に1人は不登校だと言えます。
参考:文部科学省ホームページ 令和元年度度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 p99 R01児童生徒の問題行動等調査結果公表資料(mext.go.jp)
この数字を多いと思うか少ないと思うかは人それぞれですが、その判断をする前に不登校の定義を明らかにする必要がありそうですね。
文部科学省によると、不登校生徒とは、
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
であると定義しています。
不登校の定義には当てはまらないが、学校を休みがちな生徒も加えると、より多くの高校生が不登校傾向にあると言えるでしょう。
つまり、現代において、不登校は決してめずらしくはないのです。
この文章では、高校生が不登校から復帰する方法を中心にご紹介します。
また、そのために親や周りの大人が知っていると良いことや、できることも併せてご紹介します。
高校生が不登校になる原因
なぜ高校生が不登校になってしまうのでしょうか?
ここではその原因を学年別に探って行きます。
高校1年生の場合
高校生になると、一般的には、これまで以上に勉強が難しくなります。
また、学校の先生との関係も変わります。新しい友人との出会いや付き合いも増えるでしょう。
このような状況では、中学校以上に生徒本人の社会性が求められます。
生徒自身がより高度な社会性に追いついていけない場合、不登校になってしまうことがあります。
また、高校で不登校になる生徒数は、高校1年次が一番多い傾向です。
そのため、特にこの時期は親や周りの大人が、子どもの様子をしっかりと見ておく必要があると言えるでしょう。
高校2年生の場合
高校2年生になると、今後の進路について様々な思考を巡らせる段階に入ります。
なぜなら、2年生くらいから文系・理系の区分が出てきたり、大まかな進路設計をしたりする必要が出てくるからです。
この中で、不安が出てきたり無気力になったりして、不登校になってしまう生徒がいます。
また、中には1年次に心身ともに疲れてしまった生徒が不登校になるケースもあります。
高校3年生の場合
高校3年生になると、実際に将来へ向けた人生設計を行う必要性が差し迫ってきます。
また、大学受験を控える人にとっては、そのプレッシャーがのしかかってくる時期とも言えます。
この中で、漠然とした不安や緊張を感じて、不登校になってしまうことがあります。
ただし3年次は、不登校になる生徒数自体は高校3年間の中で最も少ない傾向です。
高校生の不登校から復帰するため親ができること
この章では、高校生が不登校から復帰するために、親ができることを3点ほどご紹介します。
子どもの心のエネルギーを満たす
子どもが不登校になる原因の一つとして、心身のエネルギーが枯渇してしまう点が挙げられます。
特に心のエネルギーが不足していると、集団生活や勉強についていけなくなる場合が多いです。
そのため、まずは子どもに愛情を注いであげて下さい。
食事を作ってあげたり、一緒に会話をしながら食事をするのも良いでしょう。
また、やりすぎない程度のスキンシップも愛情表現の一つとしてオススメです。
いくつか例を出しましたが、共通しているのは“ともに”何かをすることです。
愛情がこもっていれば、会話をするだけでも子どものエネルギーは充電されて行くはずです。
学校に行かせること、勉強をさせることは、子どもの心のエネルギーが十分に充電されてからにしましょう。
少なくとも、段階的に学校へ行ければ、それはすごいことだと言えます。
愛情を持って見守る
高校時代の3年間は、子どもにとって、思春期の真っただ中にいると言えます。
先ほど説明したように、子どもに愛情を持って接することは、とても大切です。しかし、子どもに構いすぎないこともまた同様に大切です。
つまり、思春期の対応として、適度に距離を取ることも一つの選択。
子ども自身が自分で選択して、行動することによって社会性を身に着けることができます。
ぜひ、近づきすぎず、離れすぎない距離感を大切にして下さい!
親自身が充実した生活を送る
子どもが不登校になると、親自身も落ち込んでしまったり、自分を責めてしまうことがあります。
しかし、一番不安で困っている人は誰でしょうか?
それは、不登校になっている子ども本人のはずです。
子どもが不安な時に、親も自信のない暗い顔をしていては、子どもはもっと不安になってしまいます。
親である、あなた自身の生活を豊かにして下さい。好きなことをして下さい。
自分を喜ばしてあげて下さい。そうすれば、きっと家族や子どもに対して、もっと明るく愛情深く接することができるでしょう。
子どもは親を見ながら、成長します。
親が充実していれば、きっと子どもだって充実した生活を真似して行くことでしょう。
不登校中の高校の勉強はどうする?
もしも単純に、学校の勉強がわからなくて不登校になっている場合、塾や家庭教師を上手に活用して下さい。
そうすることで、不登校を解消できる場合があります。不登校の生徒を専門的に扱う家庭教師や塾も存在します。
また、それ以外の場合は、不登校生徒が通えるフリースクールなどを活用することもオススメ。
ただし、お金がかかることも多いので、親や生徒本人、場合によっては高校の先生も交えて相談すると良いでしょう。
注意点としては、勉強を再開する前に、子どもの心と身体のエネルギーを十分に回復させてあげること。
なぜなら、不登校の生徒は心身ともに疲弊してしまっている場合が多いためです。
最近ではオンラインで負担が少なく受けられる家庭教師サービスもあります。
無料体験を実施しているところもあるので、とりあえず試してみるといいでしょう。
高校で不登校でも単位は取れる?
高校では、単位を取得するために一定の出席日数が必要となります。
おおよその目安として、1年間で約3か月以上休むと、留年になってしまいます。
つまり、出席日数が足りなければ、単位は取れません。
そして、必要な単位が取れなければ、進級や卒業が厳しくなってしまいます。
高校で不登校でも卒業して大学へいける?
では、不登校になり、高校を辞めてしまったとしても大学へ行くことは可能なのでしょうか?
結論から言えば、それは可能です。ただし、本人のやる気次第と言えます。
おススメの方法としては、下記のやり方があります。
①「定時制高校や通信制高校に入る」
②「高卒認定試験を受験して、合格する」
※定時制高校や通信制高校へ入る場合、高校中退者に対する間口は広いと言えますが、事前に様々な手続きが必要になります。もし高校在学中であるならば、中退前などのできる限り早い段階から相談したり、準備することをオススメします。
※全日制の高校に転校することも、不可能ではありません。しかし、様々な条件をクリアする必要があります。全日制を希望する場合は、留年等が決まる前から学校の先生や専門機関等に相談して下さい。
いずれにしても、やる気さえあれば、大学受験への道は決してなくなることはありません!
まとめ
以上で、高校生が不登校から復帰する方法を中心にご紹介しました。
子どもが不登校であると、本人はもちろん、親においてもさまざまな悩みや不安があることとお察しします。
しかし、不登校になったからと言って、人生が終わりということは決してありません。
万が一、高校からドロップアウトしてしまったとしても、そこからリカバリーする方法や手段はたくさんあります。決してあきらめないことが大切。
いつだって、人生は“ここから”なのです。
それでは、みなさんのこれからのご多幸をお祈り申し上げます。